異文化コミュニケーションの5か条

  • 共通言語を使っているからと安心してはいけない
  • 考え方,価値観は違って当たり前と思う
  • 相手の言語・文化について関心を持つ
  • ステレオタイプを捨てる。最終的には個人対個人
  • 笑顔と,失敗を笑い飛ばすおおらかな気持ちで

共通言語を使っているからと安心してはいけない

 

「なんで急に不機嫌になったのだろう」

「普通わかってくれるよね?」

「なぜ約束した通りにやってくれないの?」

 

英語でやりとりしているから意味は通じ合えているはずだと油断していると,あとから大きな問題に発展することがあります。

例1 アメリカ人同僚ジョンと日本人同僚竹田君のメールのやりとり

 
ジョン“Maybe you should e-mail him first.” → ニュアンス(彼に初めにメールするとよいかも)
 
竹田君“OK, I will…” → 気持ち(上司でもないのに上から目線で…)
 
日本の学校ではshouldは”~すべき”と習うことから,
人からshouldと言われると上から目線で言われたような気になってしまいます。
しかし,実際のところ,ネイティブスピーカーは日本人が思うような強い意味を込めて
shouldを言うわけではありません。
 
 
例2 アメリカ人上司マイケルと日本人部下,竹田君のメールのやりとり
 
竹田君 “Please tell John to give me a call” 
→ ニュアンス(ジョンに私に電話をくれるよう伝えてくださいますか?)
 
マイケル “Don’t talk to me like that” 
→ 気持ち(命令口調な物言いをするな)
 
竹田君 "???"
 
日本の学校では,何々してくださいと言うときは,Pleaseを使いましょうと習います。
しかし,実際の英語では丁寧に人に頼むときは,ましてや相手が目上の人やビジネスメールでは
Could you please...などを使います。
 
 
例3 日系企業とアメリカ企業間のやりとり
 
日系企業担当山田さん ”We will consider your offer. We will get back to you"
→ ニュアンス(検討すると言っているが本音は却下)
 
アメリカ企業担当ジョン ”Ok, when can we hear from you again on this matter? "
→(いつお返事が聞けますか?)
 
山田さん(空気読めないやつだな)
 
日本人ははっきりと断るのを苦手とする文化です。したがって,「検討します」「考えます」と
いって,回答をうやむやにしてしまう傾向があります。一方で,欧米文化ははっきりしているため,
検討していると言われれば,言葉通りに受け止めます。そのため,あつれきが生じることがあります。
 
よって,共通言語を使っていても,背景となる文化が異なるせいで,
コミュニケーションにズレが生じてしまうことは多々あります。
 
 
アドバイス
1.できるだけ誤解の余地のないよう明確に伝えるとよいでしょう
2.自分の意図が伝わっているか,確認するとよいでしょう
3.表現にいちいちイライラせず真意をくみ取ろうとするとよいでしょう

考え方,価値観は違って当たり前と思う

親子同士,きょうだい同士でも,考え方や価値観が異なり喧嘩することがありますね。

ましてや,生まれ育った文化が異なればなおさら,です。

ですから「考え方が違っても驚かない」ことです。

むしろ,同じ文化では生まれないような新たな価値観をあなたにもたらしてくれるかもしれません。

「なるほど,そんな考えがあるなんて思ってもみなかった!」

「よくよく聞いてみるといい考え方だ!」

わくわくしながら話をしてみてください。

相手の言語・文化について関心を持つ

 

外国人の方から,「ありがとう」「こんにちは」と日本語で挨拶されたり,

「日本人は礼儀正しいですね」「日本の〇〇の文化は素晴らしいね」と言われたらうれしく思いますよね。

社内に外国人のスタッフが入ったら,あるいは外国企業と商談する際には,

相手文化と言語のことをある程度勉強しておくと好感度UPです。

 

例えば,入社したての外国人は不慣れな環境で非常に緊張しています。

そんなときに同僚から,母国の言葉で声をかけられたらとても安心します。

自分から,「おいしいって君の言葉ではなんていうの?」などと聞くのも良いでしょう。

相手も嬉しいし,自分にとっても新たな言語を学ぶ素晴らしい機会になるでしょう。

ただし,聞きすぎて”自分は言語学習に使われているのか?”と思われないように注意しましょう。

 

そして以下の点に気をつけてください。

政治・宗教・戦争の話にはタブーが含まれることもあるので,自分から触れない

例えば,イスラム教徒の人に,過激派組織について聞くと,非常に過敏に反応します。

なぜならイスラム教徒の人々が一番犠牲に遭っているのにも関わらず,

相変わらずイスラム教徒=テロリストと認識する人がたくさんいるからです。

 

ジェスチャーの使い方と意味合いは文化によって異なる

例えば・・・

こぶしを突き上げる → これはパキスタンでは「くたばれ」を意味する

ピース → ギリシャで「くたばれ」を意味する

首を振る →インドでは肯定を意味する。

 

ステレオタイプを捨てる。最終的には個人対個人

ステレオタイプとは?

 

人種,性別,職業などある社会的カテゴリー集団について人々が抱く固定概念のことです

・対人情報を自分なりに記憶,解釈しやすくし,簡便かつ効率的に他者判断を行える

・特定の側面だけが強調され,単純化が著しくなりがちで,歪曲した内容も含まれる

 

という特徴があります。

 

上で,相手の文化について学びましょうと言いましたが,頭でっかちになって,

特定の型にはめた見方をしてはいけません。

 

私たちも,

「日本人は皆寿司を食べているんでしょ?」

「日本人女性は皆おしとやかってホント?」

と言われて,違和感を感じたことはないでしょうか。

 

同じ日本でもステレオタイプは存在します。

「大阪人は皆ジョークがうまいんでしょ?」

「東北の人は皆勤勉なんでしょ?」

 

 

相手を知れば知るほど,共通点が増えていくものです。

同じ人間ですから。

 

確かに文化の知識を持っておくことで,コミュニケーションにおけるボタンのかけちがいや

あつれきのリスクを減らす効果はあります。

 

しかし,あまり知識にこだわると相手を色眼鏡で見てしまいがちになるので気を付けましょう。

笑顔と,失敗を笑い飛ばすおおらかな気持ちで

しかめっ面の人,いつもニコニコしている人,どちらの人に話しかけたいでしょうか。

もちろん,いつもニコニコしている人ですね。

 

いつも笑みをたたえている人は文化を超えて人気がありますね。

顔を引きつらせてまで無理に笑顔を作る必要はありませんが,

笑顔を意識することで,自然と口角が上がってきます。

 

笑顔は周りからの評価を上げるほか,気持ちに余裕が生まれ,

またポジティブな気持ちを維持してくれる効果もあります。

 

こういう実験があります。

割りばしをくわえさせて漫画を読ませたグループと何もくわえていない状態で漫画を

読ませたグループで,漫画の面白さを評定させました。結果,割りばしをくわえていた

(つまり口角が上がっていた)グループのほうが漫画をより面白いと評定したのです。

 

特に異文化コミュニケーションはストレスを一定程度伴います。笑顔を心掛けることで

そのストレスを緩和することができるでしょう。

 

当社にお任せください

 

「社員に,異文化コミュニケーション能力を理論と実践を交えながらしっかり身に着ける機会を提供したい」

「会社を,利益を出しながら皆がわくわくしながら仕事ができるような環境にしたい」

当社は,しっかりとお客様と打ち合わせを重ねたうえで最適なサービスをご提案させていただきます。